翻刻
蓋露(かいろ)。頭黄(とうくわう)。二黄(にくわう)等の名有蓋露はとめ葉(は)のことゝ聞(きこ)ゆ。刻(きざみ)たばこ
を糸煙(しえん)。縷煙(ろうえん)。乾糸煙(かんしえん)。又 金糸煙(きんしえん)など呼(よ)べり閩(みん)の地(ち)に植(うゑ)しを始(はじめ)
として其後(そのゝち)四方(しはう)に遍(あまね)く尤(もつとも)これを佳品(かひん)とす燕産(えんさん)これに次(つ)ぎ
浙江(せつこう)石門(せきもん)を下(げ)とす又 浦城建煙(ほじやうけんえん)清寧(せいねい)余塘(よたう)石馬(せきば)などいへるは
其 名産(めいさん)と見(み)えて長崎へ持渡(もちわた)りし糸煙(きざみたばこ)の包紙(つゝみかみ)にも見えたり
大人(うし)の親(した)しく見られしは【図】かくのごとくつゝみたり此方の
壱斤(いつきん)角包(かくつゝみ)にしたるものゝ如(ごと)し味(あぢはひ)は強(つよ)しと又ある書の中に煙舗(たばこや)
の招牌(かんばん)も名産(めいさん)の名(な)を記(しる)せり
和漢(わかん)煙舗(たばこや)招牌(かんばん)の図(づ)
《割書:一》済寧乾糸煙
《割書:二》発兌名煙
《割書:三》高煙
《割書:四》余塘高煙
《割書:五》石馬名煙
おろし
刻《割書:は|こ》
いろ〳〵
たばこ
此二 種(しゆ)の招牌(かんばん)は元禄 前(ぜん)
後(ご)の絵(ゑ)におほく見ゆ今も
京大坂にはあるよし江戸にも
まれにはある歟これ唐土(もろこし)の物
にほゞ似たりとて醒々(せい〳〵)が摸(うつ)し
て見せたるをこゝにいだす