翻刻
異国(いこく)に一種(いつしう)たばこのけふりを吸(す)ふの具(ぐ)にほつかといふもの有(あり)正編(せいへん)に
其図(そのづ)を載(のせ)たり此具(このたうぐ)は世(よ)に珍(めつ)らかなる物(もの)なりと思(おも)ひしにこれも
百有余年(ひやくいうよねん)のさきすでに此方(こなた)に渡(わた)り其(その)用(もち)ひかたをも伝(つたへ)しにや磁(やき)
器(もの)にて此図(このつ)のごとく作(つく)れるもの有これ全(まつた)くほつかなりやきは
今の世(よ)に古今利(ふるいまり)と呼(よべ)る品(しな)にて絵 様(いやう)も
其頃(そのころ)のさまなれば二百年のむかし
にはこれも用ひしと見(み)えたりこは
浪速(なには)の骨董舗(ふるだうぐや)に何(なに)とも知(し)らで
持(もち)古(ふ)りしを大浪(たいらう)石川君(いしかはくん)見(み)
あたれりとて求(もと)め来(きた)りて大人(うし)に贈(おく)りしなり
尾花(をはな)がもとに曰《割書:本居宣長(もとをりのりなが)がたばこの|ことをかけるもの也》おもひ草(くさ)は秋(あき)の野(の)の尾花がもとに
おふるとかや《割書:中略|》末条(すゑのくだり)にかくのみいみじくいひなすを云々 猶(なほ)おきかたき
ものにやあしたにおきたるにもまして物(もの)くひたるにも大かたはなるゝをり
こそなけれかう常(つね)にけぢかくしたしきものはなにかはあるさるをいみ
しき願(ぐわん)たてものいみなどして七日もしは十日などたちゐたらむほど
にぞ常(つね)はさしもおもはぬ此君(このきみ)の一日もなくてはあらぬことをばしるらむかしと記(しる)せり
○山東軒(さんとうけん)が所蔵(しよざう)《割書:赤穂義士(あかほぎし)大高源吾忠雄(おほたかげんごたゞを)俳名(はいみやう)子葉(しえふ)がごま竹のきせる|筒(つゝ)有(あり)元禄(げんろく)の昔(むかし)の物(もの)と知(し)れば其図(そのづ)をこゝに摸(うつ)し出す》
《割書:フシ》 《割書:シンチウ》
若竹も
《割書:フタ|クロガキ》 さゝた ■さひを 子葉
残哉
《割書:ワレメアリトウヲ|モツテマク》 《割書:長八寸五分》 《割書:フシ》 《割書:廻 ̄リ三寸五分》