翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

目さまし草 - 翻刻

目さまし草 - ページ 30

ページ: 30

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これをさしかへ改(あらた)めて新(あら)たになし煙脂(やに)多きものは用ひざる やうにも心かけよ尤(もつとも)我家(あがや)に在(あ)るときは長(なが)き管(らう)なるを用ひよと の戒(いましめ)を守(まも)るべしこれ皆(みな)吸(すひ)たばこのうへの論(はなし)なりこれにつきて 図(はか)らずも詳(つばら)に開(ひら)け出しは生乾草(せいかんさう)の薬功(こうのう)ある事なり世(よ)に これをよまん人それ〳〵の製法(せいはう)を加(くは)へ新(あらた)に病(やまひ)に施(ほどこ)し用ひなば これ古(いにしは)になき所(ところ)の一 箇(こ)の薬草(くすり)起(おこ)れりとぞいふべき 本朝食鑑(ほんてうしよくかん)に曰(いはく)胸膈(むね)を通(すか)し胃口(ゐこう)を開(ひら)き鬱(うつ)を払(はら)ひ悶(もだえ)を破(やぶ)り 憂(うれへ)を消(け)し飽(あけ)るを解(と)き歯牙(しげ)を固(かた)くし二便(にべん)を通(つう)じ能(よく)一身(いつしん)の 気(き)をしてこれを上下(じやうげ)しこれを運転(うんてん)しこれを発散(はつさん)せしむ 煙気(たばこのき)は聚(あつま)れば薫灼(くんしやく)の毒(どく)あり散(さん)ずれは又 発達(はつだつ)して其痕(そのあと)な し今世の人々けふりを吸ひて煙を吐く漸く咽喉(のんど)の間にいたり 胃口までは至らずして出つ若し遺(のこ)れる薫(くすぼ)りあるときは湯 水か味噌汁をのめば悉く下に降(くだ)りて去り尽すこれ故に気 と火との負(ま)け勝(か)ちの害を受ずとぞ    和蘭煙草(おらんだたばこ)の主治(しゆうぢ) 粘液(ねんえき)濁飲(だくいん)を疏(すかし)利(つう)する事を主(つかさど)る薬局中(やくきよくちう)にてはおほくの製法 を施して諸病に用ふるものありその伝来の始はしからず唯 歩卒(あしがる)役夫(しもべ)の輩 労疲(はたらきつかれ)飢渇(うゑかつへたる)の時にあたりて一吸(ひとすひ)ひきて暫時(しばし) 快きことを取れるものなりとぞ  《割書:按に東方の諸国にては今もいたづらに朝夕けふらす事のみなれども|彼国は此草の本性(ほんせい)を考へて薬治(れうじ)に専ら用ふること左のごとく也》