翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

目さまし草 - 翻刻

目さまし草 - ページ 36

ページ: 36

翻刻

下し余酔(さかけ)頓(たちまち)に解(げ)す三ッには飢(うゆ)れば能くこれを飽(あか)しめ四ッには 飽くときはこれを飢ゑしめ又空腹の時これをのめば充然(じうぜん)気(き) 盛(さかん)にして飽くがごとし飽て後これをのめば則飲食も快く消 しやすし 又これを吸へば頭目を利し風邪を解し悪気を逐ひ百病を 去り身を強く健(すこやか)にす △煙脂(やに) 能蛇毒を解す  《割書:按に試みに煙脂少許を取り蛇口に入るれば其脂の気其身にまはり|次第に肉の色変じつひにすくみあがりて死するなり又 蛭(ひる)の人の身につき|たるにこれをぬれば忽ちはなれて死す農夫 泥田(どろた)に入る者蛭の取りつくをさけん|とするものは脛に二三ヶ所脂をぬりて入れば必とりつく事なしと云》 門吉士(もんきつし)のいへるは此物の功あるわけは気の甚 辛烈(からくつよき)故に火を得て 燃(もや)し其煙気を吸ひ其気 喉中(のんど)に入れば大に能く霜露風雨 の寒を禦(ふせ)ぎ山蠱(さんこ)鬼邪(きじや)の気を避(さ)く小児これをのめば疳積(かんしやく)を 殺し婦人此をのめば能く癥(しやく)痞(つかえ)を消す気滞(きたい)痰滞(たんたい)一切 寒(かん) 凝(ぎよう)不通(ふつう)の病あるもの此を吸へば即ち通ず 又一書に能く瘴気(しやうき)を解し最 霧湿(むしつ)を消す其霧湿の毒 といふものは海に起り山瘴の気は山に盛なり其盛に行るゝ所に ては此煙草の薬勢火の力を借(かつ)て行(めぐ)らす事なり《振り仮名:如_レ斯|かくのごとき》辛き 味のものは先(まつ)肺臓(はいのざう)に入り遍く経絡(けいらく)に走る故に微風暴寒は 立ところに吹き散すべし又能強て栄衛(ゑいゑい)を行らし驟(にはか)に閉(ふさ) 塞(ぎ)を開く寒なる者は暫く熱せしめ飢るものはこれをして 暫く飽(あか)しめ倦(う)める者はこれをして暫く健(すこやか)ならしむ車に