← 前のページ
ページ 10 / 282
次のページ →
翻刻
【右丁】
年所を経るにしたがひ其【真】の古之式法を別【知】るも
のなきにいたらん他事はあ【知】らず我家業上に
かゝる事にても已に世のあさましきもの営利
之ためくさ〳〵の書を編し既に世に刊布す其数
も亦少からず今にしてこれをいふ議【識】者なくんば
後世いかに立行らんこゝに我友これを歎き我
をせめて曰く今の世、人之古式古法を探ること恰
も盲人之暗夜に物を探るが如したま〳〵一の土塊
を得ればこれを宝蔵しこれは金塊也これは宝石
【左丁】
也といふ是を以て共に盲する世之人たちはこ
れを信じ之をもてはやすと雖も具眼者より
これを見れば一笑之價だもなし君が家はい
にしへより一系連綿として家業をつぎ家に
栄【万】燭の光を蓄へ斯道之■計【泰斗】たり然るを法【徒】
らにこれを秘蔵し世之誤謬を一笑に付し去
り給ふこれ妄説次第に世にはびこるゆゑん
ならん君家伝を重んじ深く秘し給ふ事は
美は則ち美なりと雖も今にして世之あやまり