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【右丁】
ど魚鳥を切る刀をすべて庖丁刀と云も又誤れり庖丁人之
取扱ふ刀を庖丁刀といふ庖丁人之扱ふ刀には形状寸法古
来より定りあり料理人之用ゆる刀にはむかしより何々 割(ハウ)
刀(トウ)といひて其別を明にし寸法をも定めず人々之つかひ勝
手にまかせたるものなり
魚に用ゆる庖丁刀及び筋之寸法《割書:鳥に用ゆる庖丁刀及び|筋之事は奥にしるす》
庖丁刀 まちより先迄八寸目貫穴より先迄九寸なかご
の寸法には定りなし柄は厚朴にて作るべし
筋 長サ一尺内一寸先をこかすべし手形之長サ四寸がんぎ
目あるべし柄は山のうつ木、梅之木などを用ゆべし唐
木ならば何にても苦しからず
【左丁】
庖丁刀及び筋之濫觴并寸法に定まりある事は当流之秘事
也筋之手形のがんぎ目之数にも定りあり大秘
他流に用ゆる庖丁刀、筋は一尺以上之大なるものを用ゆい
かなるいはれにて如此大なるものを用ゆる事にやきかま
ほしき事也
俎之事
俎は俎豆之俎也神代より仔細侍【伝ヵ】る事なり世之なまものじ
り俎豆之俎なる事を知らずしてまなとは魚之事也魚切板
なるゆへまな板と云などゝもつともらしくいふものあり
これは庖厨に用ゆるまな板と式正之時庖丁人之用ゆる俎
との差別を知らずしてあい混じいふ笑ふべき事なり