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【右丁】
五刀鯛 浪越鯛 鬣立鯛 船中鯛 七刀鯛
八刀鯛 鬣砕鯛 五稲鯛 大 鯛 位重鯛
楽庖丁 石畳鯛 蓬莱鯛 桜 鯛 波越鯛
雪朝鯛 雪中鯛 羽重鯛 秋尾鯛 草 鯛
花見鯛 式 鯛 輪続鯛 藻隠鯛 三曲鯛
誕生鯛 平安城鯛 赤女庖丁 真三枚魝 気束掛鯛
久■迦羅鯛【注】
右之内に一子相伝之手あり皆伝之ものにあらざれば許さ
ざるものもあり
海魚は一の刀を左よりあつべし口伝
鱸
【左丁】
鱸は河にもあり海にもある魚なり元来勢霊おそろしき魚
にして水神も鱸と現はれ給ふ事ありと申伝へ侍るほどの
ものゆへ口伝多し庖丁をなすに海鱸はかげを取べし海鱸
之かげを取ざる時は川鱸之如くにあつかひて切べし川鱸
のかげを取たらん時は海鱸の如くにあつかひ斬べし波の
音を聞て刀を切かゆるといふ事は鱸の庖丁之秘事にて侍
るなり又都の内にても六条東洞院の近所一二丁之間にて
は心づかひすべき事あり口伝
周武王孟津を渡る時白魚王之舟中に入る王これをとら
へて庖丁をなすめでたきしるしにて遂に殷之紂王をほ
ろぼし給ふ此白魚は鱸にて侍らんと申伝へける魏曹操
【注 ■は「利+女」・「梨」ヵ】