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【右丁】
のあれどもこの説取に足らず押台は三献の終に用ゆる干
肴台之事也三献のおさへに用ゆる台肴なるゆへこれを押
台といふ也この台は袖附三方《割書:合掌台|とも云》を用ゆベし袖附三方
なき時は通常之三方又は二重繰を用ゐてよし尤も白紙を
敷き干肴を盛るべし洲濱台又は地紙台に岩組などをなし
用ゐし事はむかし一時流行せしゆへ法の如く思ふものあ
れどもこれを以て古来の法と心得るはあやまりなるべし
然れども流義によつて用ゆと云はゞ余は敢て是非せず
香之物之事
香之物といふはにほひの物と書くゆへにほひをとる物と
いふ事に古人も心づかず只香の文字になづみ漬物を香之
【左丁】
物の濫觴と思ひ漬物にのみ心を労し遂に薫物之中ヘ麁木
を漬け置き其香気を移して沈香といふ夫を学びて大根な
どを味噌に漬け味噌の香気を移すゆへ香之物といふとの
説を出せしより一犬虚に吠れば万犬これに吠の類にして
古人のかゝれし書を信じ今日に至りては全く上古より用
ひし香之物の主意を失ひ塩或は味噌に漬し以来之事にの
み縷々述たる古書あまたあれども皆漬物之おこりをとき
しのみにて一も香之物の主意をときしものなしこれを以
て考れば古人も香之物之主意を知らざるもの也古人知ら
ざれば今人猶知らず古今人の迷ひを解んが為に我家之極
秘々書中にある上古より用ひし香之物の事を左に記し次