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【右丁】
に塩漬茄子の事をも記す《割書:沈香之説もあやまれりと虽も爰|にたゞす要なきを以て捨置く》」
香之物は生大こんの輪切也これをしが〳〵とかんで食物之
あしきにほひをそれヘ移し取るもの也それゆへ香之物と
いふ《割書:可秘| 々々》」とありこれにて香之物の主意了解せしならん
扨野菜を塩漬にせし事もいと古き事也右府頼朝公之時代
には咎人罪之次第分らざる間は大切之ものゆへ塩漬茄子
三切を咎人に用ひしもの也塩漬茄子は五臓をやしなふ効
ありと云によりて也それより茄子之漬物に限り三切をき
らふて常に用ゐず」とありこれによつて塩漬茄子も古より
あるものと知るべし味噌漬などは塩漬より後のものなり
けん及び吸ロ之事
【左丁】
けんは金柑にかぎるベし金柑なき時は青梅。柚などを用ゆ
べし吸ロは山椒。防風。生姜。柑の類。たで。山葵。めうが其他いろ〳〵
用ゆれども何れも役のあるもの也役にたゝざる物をけん
又は吸ロに用ゆるは景之為に用ゆるものと知るベし委し
き事は略す
料理割烹其他訓誡之事
古来より我門に入るものヘ訓誡する書中より左之六
事を摘採し爰に之を揭げしは世之事をわきまへざ
る料理人などへも知らしめたき切なる思ひより記
したるもの也
料理とははかりおさむるといふ字にて食物を調理する事