翻刻!料理本の世界

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生間流式法秘書抜萃 - 翻刻

生間流式法秘書抜萃 - ページ 204

ページ: 204

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【右丁】 ものは斯道に達せざるものと知るべし譬へは庭前に池を 掘り水を溜蛙を呼んで歌のたねとして楽む人もあり蛙の 聲はさわがしとて山を築き種々の樹木をうゑ苔むして閑 静なるこそよけれといふものもあり平かなる庭に松一本 うゑ獨立亭として面白しと楽むものもあり千差万別なり 茂叔は蓮を愛し淵明は菊を愛すそれ〳〵好に違ひあればこ そおもしろからめ定り有て替る事なきは数寄風流もある まじき事也我が数寄にあはぬとて悪きと云事なかれ献 立に載る処之料理の名其品多き事なり作法にかゝはら ざる献立之分は作者の働を以て定たるもの也其品物之名 も亦然り我知らざるに人知れるあり我また知るといふと 【左丁】 も人の知らざるもある事なれば斯道に従ふものとて其名 を知らざるを恥辱となすに足らず又所によりて名之替り たる物もあるべし物之名も所によりて替るべし難波の芦 は伊勢の浜をぎとて我知らざる名あらば則ち尋ならふべ し作者之働を以て名付たる事は其名の縁を問人あらば詳 に答ふるなるべし古より主之好によりなしたる事もあり 又己の働にてなしたる事もあり臨機応変の調膳献立等も ある事ゆへ決して古の調膳献立とて法となすに足らず他 人の作たる事とて濫に非難すべからず古実作法をもわき まヘずして物しりがほに古へ臨機応変になしたる一二之 事をあげて古法古実などゝ人にほこり世をあざむくも