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【右丁】
のあらば貴賤之別なく時宜を見ていましめ遣すべし其人
之ためのみならず世之ためにもなる事ならんか献立とい
ふに仔細あれども記るさずロ伝
塩梅之事
上古は味噌。醬油も醋もなし塩と梅とを以て味を調へたる
ゆへ塩梅といふ也書経之説命に作_二和羹_一爾惟塩梅。」とあり塩
すぐれば鹹し梅すぐれば酸し故に和を得るをよしとす麁
さいは一入塩梅に心を盡すベし山海之珍物といヘども塩
梅之和を得ざれば麁さい之和を得たるにしかんや己れ客
となり人之饗応をうくる時も決して塩梅和を得るのむつ
かしき事をわするベからず大学の教にも心こゝにあらざ
【左丁】
れば食へども其味を知らずといふ事あり調理塩梅之事は五
常を離れてなし難きものと心得ベし
ほり物之事
ひやし物水肴とて木を削て人形となし紙を切り翼を作り
などするものありこれは其塲の一時の興なれども好しか
らざる事なり冷し物は時々之果物野菜様之もの総て食物
に用るものを以て取合よく調るこそ面白からん木を削り
鳥獣人形などを作るは工道者之所作にして調理塩梅を職
とするものゝ業にあらず近世野菜などにて鳥獣人形之ほ
り物をなしてむき物といふはほり物とむき物との差別を
知らざるものゝいふ所也野菜にてほりものをなすはとり