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【右丁】
貝盛といふは貝に其身を盛たるをいふ甲盛に同じ
つべたは貝の名也光螺と書蝸牛に似たるものなり
鱧の紅葉炙といふはもみゝ炙といふのあやまり也
ぎせい豆腐といふはいせい豆腐といふのあやまりなり
一夜酒といふはあま酒之事なり
朝生酒といふはねり酒之事也
開大豆とは水だきの大豆をいふ
開午房といふも右に同じ
さゝがき午房。さゝがき大根などゝいふはさゝかしといふ
のあやまりなり
さめたりとは鮫をほしかためたるをいふ
【左丁】
本編は左に河豚汁之説を書し一先筆を擱すこは食欲之戒
となさばやの老婆心のみ本編に記さゞる酒盃之禮。飲食物
之喰様其他諸式法及剥花。料理之秘筆ロ伝等は他日之を公
示する事あるべし
河豚汁説
蟬丸が住わたりし逢阪之関は古しヘ関東往来の要途なり
しとかや人之身に於ても咽は飲食の関所にして歯は軟硬
を試み舌は五味を吟味する役人なるべし常にくちびるの
貫木をさしかためてみだりなるものは通すべからず兹に
あやしき魚あり其形は鯒に類し海豚に似て肥あぶらづき
邪念の鱗もみへず多言の腮もなしうつぶし色の衣は着た