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【右丁】
勢氏と物語せしおり談たま〳〵小笠原流之事に及び
しに伊勢の申さるゝには小笠原家にてはさぞ迷惑
なるべし今は諸大名も水嶋の作り事を用ゐらるゝ
也物しりたる人は物わらひにする事ならんなげか
はしき事ならずやと答へられしと也当今は伊勢。今
川之礼式はもとより我流義之式法に至る迄皆小笠
原に奪れしことく世人何流と言ずして皆小笠原と
いふかたはらいたき事なれども水嶋以下の者は糊
口をしのがんために必死となり世にひろめ或は大
名などにかゝへられん事を目的としてはたらきた
り之に反し他之家元は何れも家に禄あると伝来之
【左丁】
口伝とに安んじ彼等何ぞよくなさんなどゝいひて
放任せしゆへ偽り事反て世にひろまれり我家之先
代正封之手代同様之者に水嶋同様の者あり又市と
いふ又市之所為は水嶋にまさる事数倍し且悪計に
長ずるゆへ遂に生間家を押領せんと謀れども心之
儘にならざるより四条家ヘ入込み生間流之庖丁。塩
梅之事は四条家より出たるものとあとかたもなき
事を言触し門人を四条家ヘ引入れ之に作り事の書
物などを与へ四条流を世にひろむ偽りの作り事を
なせしは水嶋に相似たれども水嶋之所為は又市之
所為より遥に怒すべき所あり後世之者かりそめに