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【右丁】
定めおかれたる事ゆへかりそめにも疎略になすべき事に
あらず素戔嗚尊。稲田姫と御夫婦之かたらひをなし給ふ其
はじめは尊。簸川(ヒノカハ)之流に御手をすまし給ふ時御手に箸のか
かりしを不審と御覧ありて御手に取上げ給ひ川上こそ人
あらんと尋ね給ひつひに稲田姫と万代を契り陰陽和合之
道をひらき国土安穏幾万年之基をおこし給ふもこの箸よ
り起る仮初ならぬめでたき由縁あるにより手掛箸始とて
諸祝儀之第一に行ふべき式事たるは無論の事なれどもと
りわけ婚姻には末々の者いかほど略式になすともこの式
事は専一に用ゐかならず麤略に取扱ふ事なかれ
祝言落着之事
【左丁】
双方より相当之人を媒人に頼むべし媒人は双方之親へ万
端之事を談じ婚姻之日限及双方より取かはす音物之品使者
を遣す日限刻限などをも取極め伝るこれを落着といふ
結納祝儀之事
ゆひなふといふ事は上古よりの言葉なり上古はかたき約
束に言葉をつがひて藤。葛を互に結たる也是をゆひなふと
云又いひいれとも云いひいれと云は甲之女を乙より妻に
もらい度といひ入れる故也俗に《振り仮名:ゆひいれ|ヽヽヽヽ》又は《振り仮名:いひなふ|ヽヽヽヽ》な
どゝ書は何れも皆あやまり也結納は《振り仮名:ゆひなふ|◦◦◦◦》と書べしゆ
ひなふを古はたのみともいひし事ありこれは双方より祝
儀物を取かはし互にたのむといふ義也右等のことはさて