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【右丁】
時は先をこがし油を注ぐに及ばず脂燭之元を巾五分計
の紙にて巻きあるゆへ紙燭とも云之をともす時は片手
に脂燭片手にほうろくを持ちて脂燭をうくる也是を座
上之たいまつと云古は 天子夜出御あるとき官人脂
燭を持て御先に立ちたる也蝋燭は養老以前よりあるも
のなれども略物なるゆへ儀式之時は用ゐず脂燭を用ゐ
たるものなり
仮屋形之事
古は都て国界に仮屋形を作りこの所にて輿之請取渡しを
なし迎衆送衆に饗応ありて陰陽之太刀をも是所にて出
されたる也むかしといへども程近き所にてはこの沙汰な
【左丁】
し当今はかよふの事はなく聟君之屋形にて輿之請取渡し
をなす也
仮屋形作様之事
仮屋形は方二町程に場所を設け左之方に聟君之仮屋形を
建て屋形辻を警護す右之方には姫君之仮屋形を建同しく
警護すこの屋形は聟之方より建はじむるもの也輿請取渡
之場所は双方之仮屋形之間とす此屋形をわくの屋とも云
板ぶき板がこいにしてこれに白き幕を双方共にうつ也今
はこの例を用ゐずといへども古来之作法心得置べし是所
迄迎ひに参る聟君之方の役人は尤も姫君之方の役人の参
る迄に出張り居るものなり