← 前のページ
ページ 90 / 282
次のページ →
翻刻
【右丁】
れどもこれは法になき事也婚礼の時に限り水引の掛様に
習あり口伝
当今世上に用うる所の元結地水引といふものは我先
代京之水引屋に元結地水引之拵様糊加減などをも教
へ販売せしめし所世にこの水引を用うるものいつと
なく多くなりしより最初之程は主人自ら糊加減など
をなせしに終には職人に教へ其法を伝へたるより其
伝世にひろまりて今は何れの水引屋にても元結地の
水引を製造販売す其根元は我が先代之意匠に出たる
ものたるを今は世に知るものなきに至れり
文認様及び言葉づかひの事は略す
【左丁】
諸道具之事
貝桶をはじめ手道具より台所之具に至る迄姫君之もの一
通り持参あるべきもの也品数多きゆへ爰にこれを略す
数長持之事
婚姻之日より以前に品々の道具。臥具などを長持に入れて
何十荷も遣すこれを数長持といふ也油単は織物。絹又は木
綿にても家之紋を付る也色は勝色などよし
臥具を古は夜のしとねといふ今はこれを蒲団といふ
蒲団とは元来蒲之葉を束ね丸く巻きたるものにて即
ち円座の類をいふもの也
庭銭之事