翻刻
【右丁】
井水(ゐとみづ)の方(ほう)は半日(はんにち)も飯(めし)のたもちかたあしく。井水(ゐとみず)にて
あらひても川水(かはみづ)にて一へん上(うは)あらひし川水にて仕(し)かけ焚(たけ)
ば初(はしめ)より川水にて洗(あら)ひしも同し事にて保(たもち)かたよし
○又/飯(めし)の腐(くさら)ざる妙法(みやうほふ)
朝(あさ)焚(たか)んと思(おも)はゞ前日(ぜんじつ)の夕方(ゆふかた)右のごとく洗(あら)ひて釜(かま)に入
其まゝ焚(たく)やうの水加減(みづかげん)に仕(し)かけおき翌朝(よくてう)水をしか
ゆる事なく焚(たく)べし。火は初(はじ)め強(つよ)く吹上(ふきあが)りたらば木(き)
を半分(はんふん)減(へら)し随分(ずいぶん)蓋(ふた)を明(あけ)ざるやうにして焚(たく)べし。蓋(ふた)
を明(あけ)て焚(たき)たる飯(めし)は味(あぢは)ひ水(みづ)くさく。しかも壱舛の手まへ
【右丁左下枠外】天保十四
【左丁】
にて一杯(いつはい)の飯(めし)を減(げん)ずるの損(そん)あり。扨右のごとくして
焚(たく)米(こめ)の中に梅干(むめぼし)一ツをいれて焚(たけ)ば極暑(ごくしよ)の時分(じぶん)に
ても二日はたもつなり梅干(むめぼし)の酸味(すみ)飯(めし)にうつる事なく
是(これ)飯(めし)の腐(くさ)らざる大秘伝(だいひでん)なり試(こゝろ)み給ふべし
○因(ちなみ)に曰(いふ)飯(めし)のあしくなりたる時は清水(せいすい)の中に入(いれ)手(て)を
もつて洗(あら)ひ蒸籠(せいろふ)にてむして食(しよく)すべし
○豌豆飯(ゑんどうめし)
豌豆(ゑんどう)は五月/時分(じぶん)ならば生豆(なままめ)を用ゆれども時節(じせつ)後(おく)
れては乾(ほし)たる豆(まめ)を二日/程(ほど)水にひたしおき。水にて能々(よく〳〵)