翻刻
【右丁】
黄飯(わうはん)は栄曜(ゑよう)なるやうなれども焚方(たきかた)によりて利方(りかた)に
なるへければ。爰(こゝ)に豊後(ぶんご)臼杵辺(うすきへん)にて専(もつは)ら食(しよく)する
焚方(たきかた)を記(しる)すなり○先(まづ)茄子(なすび)のある時分(じぶん)ならば茄(なす)
子(び)を。小(せう)ならば厚(あつさ)二三/歩(ぶ)【注】の輪切(わぎり)にし。大(たい)ならば二ツに
わり右の厚(あつ)みに切(きり)多(おほ)く用ひ扨(さて)いもからの生(なま)を長(なかさ)
一寸六七部【注】に切(きり)三ツ位(ぐらい)にわり。水に浸(ひた)しおき牛房(ごぼう)を
さゝがきにして是(これ)も水に浸(ひた)し各(おの〳〵)よく悪汁(あく)を出し又
根(ね)を一寸二三部に切(きり)皆(みな)一同(いちと)に鍋(なべ)に入よく焚(たき)て醤油(しやうゆ)を
さし。いつも汁(しる)などにするより能(よく)煑(に)て其所へ魚(うを)《割書:こち|かます|くち》
【右丁左下枠外】天保十九
【左丁】
などの小(こ)骨なく油(あふら)のすくなきを見合(みあはせ)鱗(うろこ)をふき取(とり)
頭(かしら)を去(きり)鍋(なへ)の中なる加(か)やくの上に入しばらく焚(たき)て能(よく)
煑(にえ)たるとき箸(はし)をもつて骨(ほね)をすごきとり。右かやく
とかきませ器(うつは)に盛(もり)飯(めし)の上におきかきまぜて喰(くふ)なり
○右/魚(さかな)をいれずかやくも略(りやく)し。時分(じぶる)〳〵価(あたひ)やすき
野菜(やさい)を多く入て食(しよく)する時は。汁(しる)菜(さい)などこしらへ
るに及ばす。おのつから米を助(たすく)る一助(いちじよ)となるへし
○甘薯(さつまいも)を食(しよく)する話(わ)
肥前国(ひぜんのくに)の西(にし)にあたりし浦々(うら〳〵)大隅(おほすみ)薩摩(さつま)の在々(ざい〳〵)にても
【「歩」は「分」の誤ヵ。1歩(=1間)は約1.8m。1分は約3mm。「部」は「分」の意。以下同】