翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

木斎咄医者評判 5巻 - 翻刻

木斎咄医者評判 5巻 - ページ 12

ページ: 12

翻刻

芸能(けいなふ)は穴打(あなうち)や。むさしほうびきさては又。かるた源(げん)べいけん にんじ。此外さらに芸(げい)はなし。武辺(ぶへん)と云はちくさいめに あふ事也ときく程(不ど)に。今こそあれそのいにしへ二さい の春まて父のひさをはなれねば。竹斎めには毎日逢是(まいにちあふこれ) ゆいたてになるならは。かならすたのむと云ければどよみ になりて取あはず。つく〳〵物をあんするに。我親(わがおや)いしや にて有ければ。祖父(おふじ)の方へ医書(いしよ)をそへて送られ たりときゝけれとも。物をかゝねば其かひなし。はづ かしながら今よりして。手習せばやと心つき近所(きんしよ) なりし。牢/人衆(にんしゆ)にちかつきて。手本を求(もとめ)/夏(げ)百日が 其間。無二無三ならひし故。習ふに/神変(じんへん)あらはれ て釘を算木(さんき)によこたへし。字形(じかた)なれどもよめに ける。しすましたりとよろこびて。今年(ことし)/志学(しかくの)年な れはとてもの事(こと)に物よみせばやと思ひそめちかき あたりに住(すみ)たまふ坡谷(はこく)と申/博学(はくかく)の牢人衆(らうにんしゆ)にたよらん とて。或時(あるとき)に/竹(ちく)三郎。彼学者(かのがくしや)に/初会(しよくはい)して大学(たいかく)を 読習(よみならふ)が。先(まづ)さし置(をき)て四方(よも)のはなしに成(なり)て後(のち)/竹(ちく)三郎 申やう。御/師匠様(ししやうさま)の御/名(な)は。いかさま故(ゆへ)の侍らん。承り度(たき) と尋(たづ)ねければ坡谷(はこく)聞(きゝ)て申さるゝは。されば我(われ)文才(もんさい)に くらからで。何におろかはなけれども。取(とり)わけ詩作(しさく) を得(ゑ)てければ。おそらくは東坡山谷(とうばさんこく)にも。おとらじ とそんせしゆへ。下の一/字(じ)を取合(とりあはせ)。坡谷(はこく)と号(かう)し候と