翻刻
世にも。一家(け)の師(し)ともなる人は大方/博学(はくがく)ときこへし
是は博学にて。医(い)の道をもよく究(きわめ)たまへば。上々の
医(い)也。尋常(よのつね)の人の。及べきにあらず。それにはあらで
我云(わがいふ)所は。学文(がくもん)すきの人の癖(くせ)にて医学(いかく)はせぬがおほし
しさいは医書(い志よ)は。上すべりがして。埒(らち)があきやすき様(やう)
にて。勤(つとめ)兼る也。二つには前々(まへ〳〵)/云(いふ)運の阿しき人。かゝる
病人毎に/難病(なんびやう)。さては人目に/軽(かろ)く見へる/死病(しびやう)
依(よつて)_レ之/手柄(てから)すくなく働(はたらか)ぬ有。三つには医道(いたう)に/骨(ほね)を折
故に其心にも。慢(まん)が有て口をきゝ。人にも諂(へつら)はず
人/和(くわ)あしく。人もほ(す)_レ頼(たのま)。いしやなりまにては随分(ずいぶん)口
をきくにより。出合(いであい)には口があかれねば。底意(そこい)いやにおもひ
て。美(び)女は悪女の/敵(かたき)のごとくなれは。此人の手柄(てがら)は大
方不めす。針程の誤(あやま)りをば。棒程に云なしを
の連が不(ふ)学の云わけにもなるにより。学は有
とも。薬がきかぬと云出す。白人(しらふと)はいよ〳〵一犬(いつけん)
虚(きよ)を吠(ほゆ)れば。十犬実(じつけんぢつ)と伝(つた)へて。はやらぬも有べし
四つには医学尓も骨(不年)を折ども。生徳の才智
不_レ働(はたらか)。飩(どん)にて臨機応変(りんきをふへん)の意(こゝろ)。不/調(てう)法にて働(はたら)か
ぬも有へし。五つには幼少(ようしやう)より医学/勤(つとめ)ても。年
若くして。人が療治(りやうち)は不_レ頼(たのま)。当然(とうぜん)之/渡世(とせい)がなら
ねは弟子(でし)を集(あつめ)。医書之/講釈(こうしやく)にて日を送(おく)り。京(きやう)
田/舎(なか)まて名(な)は高(たか)けれとも。医書読(いしよよみ)と名(な)を付(つけ)