翻刻
られ/更(さら)にはやらぬも有。さてこそ学はあれども。薬
が利(きか)ぬと云。志かれども一/概(かい)尓云は無理(むり)ならずや医書
にも評(ひやう)して有。遍鵲(へん志やく)程の医学(いかく)にてもくすりの働(はたらか)ぬ
は有とも。不学にてはやる医に/遍鵲(へんしやく)こときは有
まじと。尤にこそ。不学にて才智(さいち)がはたらき。薬が
きくと云人に。医学させたらば猶以よからん弓射(ゆみい)
る人の。手前あしくて。的(まと)よく中(あた)るに。手まへを
なをしたらば。いよ〳〵鬼に/鉄棒(かなぼう)たるべしと申さ
るれは客(きやく)はさても見くぢかき。御物がたりかなとかん
じける所に。おもてにてものもうと云をきゝて
客はいとま申てかへりける。目玉之助出て。どれからと
きけば。本町/筋(すじ)より。御無心にまいりましたと云。此
よし木斎に申ければ。木斎聞是は所からのよけれは
何とぞ見せかけの仕様有べきぞと。目玉之助に
さゝやけば。心得申候とて。客(きやく)を座敷へしやうし。木斎
出合(いてあい)て。あいさつのなかばに目玉が。友(とも)だちをたのみ。使(つかい)
に志たて。物もふこわせて前(まへ)かどいづみやより来る銀
之内。三/枚封(まいふう)も。とかで有を。かのにせつかひもち来る
を。目玉之介/請取(うけとり)。座敷(ざしき)へ罷出。是は加藤肥後守(かとうひこのかみ)様
御内。犬塚牛馬(いぬづかきうば)左衛門殿ゟ御内儀様御/病気(びやうき)。御ほんぶく
の御志たぎとして。御使にて御座候とて披露(ひろう)す
どれとて銀(ぎん)は床(とこ)の上へなげ阿げ。状(じやう)は心之内にて