翻刻
ければ。御/内客(ないきやく)も。供(とも)の者(もの)にて。すいしました
きぐすりやの。左次(さじ)でこざらう。知(志る)人の事なれば。少
もくるしからずといへば。左次云きゝて。斗右(とゑ)か。はい
里やと云に付て内へ入て。左次是にかとてにつと
笑(わらい)て。座になをるやいなやに申様。たがひに町人どし
は心やすい程に申まする。其めした羽織(はをり)の代銀が
すみませぬ。くたされませいといへば。是は去方(さるかた)より
もらひたはをりしや。其方から取たでは。ないとい
わるゝいやそれがわたくしの方より。あげ満したで
ござるごふくやをしてくらすゆへに。闇(やみ)の夜(よ)に。手
でさぐりてもしりますると。あいそうなげいへは
木斎志れわらふて。いかにも道々とてそうもあらふ
おれは羽/織(おり)のぬしなれ共。覚(おぼへ)ちがへた。よそからも
らふたは。別(べち)に有ものを。病(びやう)人ならば。見ちがへまい
に。先(まつ)たばこてものみや。さておみやると残り。病人
の方へ行(ゆく)とて出る所(ところ)へ。をの〳〵来かゝりめされた
病家(びやうか)ては。いしやのおそいをまちかぬるものじや
跡でゆるりと。ちやでもおみ志やれとて。せきだ
加た〳〵。そうり加た〳〵足にかけて。目玉之(めたまの)助
薬箱はやうもてこい〳〵とていそがしそうに。かけ
出したれば。二人の/町(まち)人は。舌(した)うちして帰(かへ)りぬ
吉? 紋平に