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ればとき〴〵はかろき病(やまひ)は癒(いや)すべし。其病家にては。
生(いき)やつしと信(しん)ず。是を誑すべき縁(えん)として。色々のう
そをつき。足(た)りにもなるべき方と見ては。病かろく
ても日々に見まひ。又さのみ足(たり)に成まじきと知
てはたとへば口ふさぎに。薬はつかはせども。希(まれ)にし
見まふ事なく。人参(にんじん)の入薬も。小人参にてあいし
らふ狐の人を誑(ばかす)には。ころすまての事は有まじ。
いしやの人を誑には。ころす事多かるべし。おそれても
猶あまり有と。余所(よそ)がましくは申さるれど。皆我身
の上にある事なれば。弁舌(べんぜつ)あきらかにきこへける
皆人なりをしづめてきゝけるが。又問(と)ふ爰にふしんなる
事(ここと)御座候。上手の跡へ下手かかゝりて。癒るあり
下手の跡へ上手のかゝりて不_レ癒(いへ)も有(あり)。此儀(ぎ)いか
成故候や。木斎答て云。それこそ多(おほき)き事也
是にて上手と下手が紛(まぎる)ること也。それに品(しな)有。い
かに上手にても。急に不_レ癒/病(やまひ)有。上手故に
そろ〳〵と下地(したぢ)をよくすれど。外(ほか)へ験(しるし)とも不_レ見
内にはや下手の手へわたり本復(ふく)すれは。後(のち)の下手
の大手/柄(がら)に成。根(こん)本は前の上手の薬(やく)力也。又下手
の跡は。いろ〳〵にこぢらかしたる事なれは。上手と
ても。癒(いへ)しがたし。惣(そうし)而上手の跡に。下手のかゝりて
手柄おほきもの也。いかにと云に。上手は無(む)理/成(なる)事