翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

木斎咄医者評判 5巻 - 翻刻

木斎咄医者評判 5巻 - ページ 51

ページ: 51

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居(い)たるが。さて〳〵木斎さまの御物がたりは実(み)の入たる 事どもにて侍る也。さだめて師伝(してん)も有事に也 但/自見計(じけんはかり)にて御座候やと云。其時木斎申さ るゝ。薬にも不_レ限。製(せい)法又は灸(きう)や脈(みやく)には。伝も有 ぬべし。能(よく)々心かけずは。けいこはならぬ事ぞ。長老(ちやうらう) のまねをせば。一生しらで過ぬべし。大医の弟子(でし) と名乗(なのり)ても。朔日十五日礼に行て。ま見へたる ばかりにて師(し)の名を売(うる)ものいくらも有也。大豆(まめ) 部(はち)の身にも覚へ有べし。柳川撿挍は。天下の三味 線(せん)の上手とは申せども。其下の初(しよ)心うちかけ いかで一/組(くみ)にても直(じき)にならはんや。まづそのごとく 医道(いだう)けいこも。たとへ幼(よう)少より側(そば)に居(い)ても中々 習はるゝ物にてなし。師匠(ししやう)の奉公は。主/君(くん)へつかふま つるに少もかはる事なし。上手とよばるゝ程の大 医に。隙(ひま)の有はなし。調合の間には草臥(くたびれ)も有 なれば。一ケ月に一/度(ど)も問(とは)はるべきにあらず。是に 御/牢(らう)人。楠(くすのき)政右衛門御座候が積(つも)りても御/覧(らん)候へ 主/君(くん)と師匠は同事なれば主君へ向奉り。我 か用が自由に問れ申べきや。われらも大/医(い) の弟子に成て。随分(ずいぶん)心がけ侍れ共。しか〴〵なら はぬ故に。一生かくのごとくの下手にてすぐる 程に。数年/側(そば)に居たると云人の無下(むげ)にあさまし