翻刻
あらず。百石の者が。三百石のいしやの。半分(はんぶん)にをと
らんとも云がたし。侍(さふらい)衆の身/体(だい)は代々取つたへの格(かく)
にもより候へば。論(ろん)ずるに不_レ及候つともまづ目/前(せん)
にて申さば。百五十石取の働(はたらき)は。三百石/取(とり)の半分
とも申べし。其故は人数三百石にては一/倍(はい)有故
也。いしやは千石取てもさじ一本。百石取ても
さじ一本のはたらき也。さて又いしやも渡(と)世の
営(いとな)み弐百石の余慶(よけい)あらば。なんぞ六ケ敷。弐百石
をのぞまんや当/分(ふん)の渡世か。やつかひなどほぼ〳〵
てなりかね。すへの事をおもはれぬものは。小身にて
も有付べし。それは御主/仁(じん)の御/仕合(しや)によるべし
召抱らるゝ時は。上手のやうなれ共。後はさもなきと
云には。品(しな)三つ有べし一には初は取付なれは。上下
によく思れん為。りやうじにも精(せい)を出し。薬料(やくりやう)の
そんとくにもかまはず。年も若(わか)くて勤(つとめ)もよし。扨
尻(しり)があたゝまれば。日和(ひより)を見/合(やわせ)て射威(い)の有人には。御
ひげのちりを取。其外はそこ〳〵にし医(い)の道を
も心に。かけず。片手(かたて)わざのやうにして。人参(にんじん)つかふ
病人(びやうにん)にも。曽而つかはず。金たむるのみに。心入有もお
ほき事也。二には随分(ずいぶん)と勤(つとめ)し人も。病気づくか年
が寄(よる)かすれば。昔(むかし)のやうに。ゑつとめねば。をのづから
おもきやうになり。療治(りやうじ)に不精(ぶせい)に見ゆるも有