翻刻
かえぬかえぬは。大/事(じ)の事。医師の評判▢ても。見だりに
云かたし況(いわん)や白人の。むさと云は大切(たいせつ)の事也/害(かい)に成
事おほし。然る故に。大/名高家(みやうかうけ)の御煩には。いしや
がおほくあつまりて。口々に利口(りこう)を云にまよふて
歴々の大医の薬なれ共。船頭(せんたう)がおほき舟の
上へのほると云かことしと。いわれければ。梶右(かじへ)/聞(きく)
て。船頭の御たとへ。ちと耳にかゝり申也。さて又
よく〳〵思ひめくらし候に。いしや衆は。人をたすけた
まふわざなれば。後生(ごしやう)はよかるべしとそんし候と
いへは。木斎申さるゝは。いやとよさあるまし。われ
らこときの下手は人をおほくころすゆへに無間地(むけんち)
こくへとんふりと落(おつ)へし後生(ごしやう)はかくのことく有へけれ
とも。此世にては切々(せつ〳〵)仏(ほとけ)二/体(たい)に成事有。いかんとな
れは。かろき風気にてもよくすれは。病家にて
は生薬師(いきやくし)と云さて程過(ほとすき)ては。いしやの恩(おん)をわすれ
て。尻(しり)くらゑ。くわんおんになる也。惣(そうし)而/病家(びやうか)に。誤(あやまる)
事/多(おほ)し。わつらひていしやをたのまは。食事其外(しよくしそのほか)
何にても。いしやのさしつしたひにすべし薬と養
性(しやう)とは。車(くるま)の両輪(りやうわ)のことくし。いかに薬を用ても養
性かあしくは。病か愈べきか。薬の批判(ひはん)はする物なれ
とも養性のあしきは。かくすがおほし。養性がなら
すは。薬を用ても無益(むやく)也。第一▢のため第二いしや