翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

木斎咄医者評判 5巻 - 翻刻

木斎咄医者評判 5巻 - ページ 9

ページ: 9

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伊丹(いたみ)屋殿の方よりの。薬代酒(やくだいさけ)を。とそ酒となして。さいつ さゝれつ主従(しう〳〵)のみ。はさむさかなの数(かず)の子を。ぶつき〳〵と かみしめて。くはつみの台(だい)引/寄(よせ)て竹斎 蓬莱(ほうらい)の。山居なを せる朝哉(あしたかな) と申さるればにらみの介 不死(ふし)の薬(やく)代/暮(くる)る 永(なが)き日とと主従二人ことぶきいわひ。ゑみをふくみて有 し所に。竹斎がぼんのくぼぞつとして。肩(かた)の上にすこし おもみかゝると覚て。何かはしらずまろび落(おち)しを。手に 取て見れば猫(ねこ)子の生だち程(ほと)成(なる)男(をのこ)の。年はよのつねの 四十ばかりに見へて。やせこけて色青々としたるが。草 の軸(しく)程なり。竹つえにすがりて。よろぼひたるあり さまは。只ひなのうざいがきかゆうれいか。乞食かとも意 かはる竹斎はみゝくぢりに手(て)をかけ。にらみのすけは火吹(ひふき) 竹をおつとりのべて立(たち)かゝる。竹斎も申されけるやうは。何(なに) ものなればかゝるふぜひにて。何方より/来(き)たれるそ。 ありのまゝにとつて申せ。少も異/儀(き)に及なば。忽命を とるへきとのたまへば。そのとき彼(かの)まめおとこまづ〳〵 しづまりおはしませ。我(われ)は三代/相伝(そうでん)の。貧乏神(びんほうかみ)にて 候が。御子/息(そく)の代まで。つきそひ申/筈(はづ)なれ共。不慮(ふりよ)に 取はつしてころび落(おち)。御目にかゝり申事。かへす〳〵も 残念(さんねん)也。是(これ)までなりやさらばとて。そこを立さり。門(もん)の方(かた)へ 行程(ゆくほど)に。竹斎もにらみのすけも大によろこび。 われ〳〵旅行(りよかう)の時。爰に清(きよ)見が関(せき)にとゞまれと。にらみ