翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション2

養生録 - 翻刻

養生録 - ページ 17

ページ: 17

翻刻

 し此/等(ら)の芸は淫声(いんせい)なくして人(じん)心を和し上下の  交りあつくしてよき遊芸(ゆうげい)なり射は進退 度(ど)あり  て能(よく)気血(きけつ)を通暢(つうちやう)し争はすして君子(くんし)のこゝろに  似たり御(ぎよ)は馬(むま)にのる事なり是は身体を堅むる  によき事なりいつれ射御(しやぎよ)の二つは弓馬(きうば)とて武(ぶ)  家(け)なとにては申まてもなく男子(なんし)たるものたし  なみ置(おく)へき技芸(ぎげい)なり然(しかれ)ども是らは肆中(しちう)の工商(こうしやう)  の輩は学(まな)はすとも可(か)なり其かはりに己(おの)かさま  〳〵の家業(かげう)ありて体(たい)をかため身をやしなふの  いとなみは射御(しやぎよ)にもまさる身の堅めともなり  楽しみともなる事あるなりかくの如く聖教(せいけう)は  こと〳〵く天地(てんち)の大徳(たいとく)の命(めい)を養ふの道具(どうく)とみ  るときは養生(やうしやう)の道は大(おゝひ)なりとしるへし 一 養生(やうしやう)の道(みち)は自然(しせん)の気に順(したが)ふべしとは春(はる)は発生(はつせい)  の気にしたかひて朝(あさ)とく起出(おきいで)て烟霞(ゑんか)にめて山(さん)  野(や)を望(のぞ)みて気(き)を寛(ゆるやか)にする也或は家園(かゑん)にいでゝ  逍遥(せうよう)し草木(くさき)の芽立(めたち)を育(そだ)つるやうにして何事を  するにも陽気(やうき)のしまらぬやうに心得て寛(ゆるやか)にす  へし夏(なつ)は陽気 甚(はなはた)盛(さか)んなれは朝(あさ)は随分(ずいぶん)はやく起(おき)  出て庭際(ていさひ)に水(みづ)をそゝき暑(しよ)気を避(さけ)て内を専(もつは)らや