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あたりて早々臥すべし火桶(ひおけ)を用ゆるもあしゝ
かくのごとく四時(しいじ)に従ふて養生(やうじやう)するときは自(し)
然(ぜん)の示しみあり是を生楽(せいらく)と云心気を労動(ろうどう)せす
して長生(ちやうせい)するの術(じゆつ)なり
一養生は寡欲(くはよく)にしくはなし寡欲(くはよく)とは諸事の望(のぞみ)を
すくなふして何事も天に任(まか)せてしゐて求めさ
るなり己か及はぬ事を望むときは心気いたつ
らに労(ろう)して其 功(こう)なし鵜(う)の真似(まね)をする烏(からす)と云に
同し鵜(う)も烏(からす)も黒(くろ)き物なれとも水に入りて功(かう)を
なす事あたはす故に鵜(う)は鵜(う)烏(からす)は烏(からす)の本分を守
りて居さへすれは無難なり人も銘々(めい〳〵)才智(さいち)ある
者もあり力量(りきりやう)あるものもあり各々己か才の長(ちやう)
短(たん)にしたがい己か分限(ぶんげん)の軽重(けいぢう)をはかりて其余
は天命(てんめい)に打任(うちまか)せて寡欲にして正路(しやうろ)に家業(かげう)を出(しゆつ)
精(せい)するときは少しも天と人とに愧(はづ)る事なく愁
へ苦しむ事なしやす〳〵と生を全(まつと)ふするの良
術を得るなり
一当時太平の御代久しく打続き人皆 堯舜(けうしゆん)の化(くわ)に
浴(よく)するかことくなるへきに今時の人は人欲の
甚しきよりして古への敦朴(しゆんぼく)の風俗次第にうす