翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション2

養生録 - 翻刻

養生録 - ページ 20

ページ: 20

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 くなり驕奢(おごり)のわさのみ盛(さか)んなるより朝夕物に  飽足(あきたる)事なし不足々々と思ふこゝろ積欝(せきうつ)して多  病を生するの源(みなも)となる近比世俗に癇症(かんしやう)といふ  もの流行(りうこう)せり尤 昔(むかし)の癇(かん)と云には相違(そうゐ)したれ共  俗に就て論するときは此 症(しやう)前(まへ)に論する人欲の  甚しきよりして日々(にち〳〵)夜々(や〳〵)名(な)を争(あらそ)ひ利にわしり  てひたもの己(おのれ)か分限(ぶんげん)に応(おう)せさる工夫(くふう)のみなし  て無理(むり)計なる望(のぞみ)を生し実々吾一心より此病を  なすそかし此 症(しやう)陰(いん)に発(はつ)するときは先物事次第  にくどく丁寧(ていねい)になり潔癖(けつへき)とてきれいすきをき  ひしく致し何事にもふかく恐れ小間に閉(とぢ)こも  りて人に逢(おう)事をだにいとひあるひは落涙(らくるい)して  折々 悲(かな)しみなきさしてもなき事をくりかへし  〳〵あんし思ふ事やます陽に発する時は度々  怒(いか)り人とあらそひ次第(しだい)に手あらくなり遂(つゐ)に狂(きやう)  乱(らん)するにいたる事あり是 皆(みな)養生の心得あしき  よりして如(ごとく)_レ此(かくの)なるに至(いた)る事あり彼いわゆる天  然自然の楽(たのしみ)をなし寡欲(くわよく)にして身を動(うご)かし正直(まつすぐ)  にして家業(かぎやう)をなすときは是等の病をなすの所(ゆ)  由(へん)なかるべし