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無益(むやく)の動作(どうさ)多くして修_レ身養生の主意に違(たがふ)へし
一近来 黴(しつ)瘡毒(どく)の病 流行(りうこう)して年 若(わか)き者は感(かん)せさる
人なく此 病(やまひ)療治(りやうじ)を疎(おろそ)かにするときは遂(つい)には生(うま)
れ付ざる廃人(かたわ)となり或は目(め)耳(みゝ)を損(そん)し顔容(かたち)も頽(くづれ)
て人に交(まじは)りかたく見苦(みぐる)しき姿(すかた)となる者 数多(あまた)あ
り此病(やまひ)を煩(わつら)ひて身体(しんたい)髪膚(はつふ)を損(そん)すれは不孝(ふかう)の第
一となる始(はしめ)より養生を主として身を慎(つゝし)み飲食(いんしよく)
を節(せつ)にし淫婦(いんふ)に交らす花街(ちやや)に身をゆたねす大(たい)
切(せつ)に身(み)を持(もち)寒暖(かんだん)の身に叶(かの)ふやうにして朝(あさ)は早(はや)
く起(おき)て陽気を塞(ふさ)かす夜は亥の下刻に臥して陰(いん)
気(き)を閉(と)ち昼(ひる)の内(うち)は天気に順(したが)ふて 己(おのれ)か所業(しよぎやう)を専
一につとめ上を犯(おか)さす下を憐(あわれ)みすこしも私心
を用ひす正直(まつすく)正路(しやうろ)に出精(しゆつせい)して身持(みもち)堅固(けんご)なると
きは此病を生するの因縁(いんねん)なくたとひ父母(ちゝはゝ)より
伝(つた)ふる遺毒(たいどく)ありともかく堅固(けんご)に身を養へは少
しの病きさしても至(いたつ)て軽(かろ)し故にこの病の生(しやう)ぜさ
るやうに養生(ようじやう)を主とするときは則(すなはち)聖人(せいじん)の道に
叶(かな)ひ且(かつ)は公儀(こうぎ)の法度(はつと)に背(そむ)かす家(いへ)富(と)みて乏(とぼ)しか
らすかく心得れは養生の道は則 天理(てんり)の公(おゝやけ)にし
て修(おさめ)_レ身(みを)斉(とゝのへ)_レ家(いへを)治(おさむる)_レ国(くにを)の道も皆(みな)別物(へつもの)にあらす
【虫損部は筑波大学附属図書館所蔵本を参照 https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100271648/viewer/24】