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書の旨は己か心を医すると云事なり凡 医(い)とし
ては先心の中に病なくして少しの曇(くもり)りもなく
明に虚霊(きよれい)不昧(ふまひ)ならされは病を診(しん)することあた
はす故に先 鍼術(しんじゆつ)に於て修心(しゆうしん)の術(じゆつ)を求るを先務(せんむ)
とす
一凡人を療(りやう)するに鍼(はり)に宜(よろ)しき病あり灸(きう)に宜しき
病あり服薬(ふくやく)に宜しき病ありまた三法 兼行(かねおこなは)され
は治(ぢ)しかたき病あり医もまた尽(こと〳〵)く其術を兼行
ふときは却て粗術(そじゆつ)にもなるへき理ゆへに各 専(せん)
科(くわ)を立て行ふなり然れとも医たる者 尽(こと〳〵)く其道
理は究(きわめ)め置すしては叶(かな)わぬ事なり病に臨(のぞ)んては
其道の妙手をゑらんて用へきなり
一古へは鍼に補瀉(ほしや)迎随(けいずい)の法正しく備(そな)りてあれは
鍼(はり)にて万病を治(ぢ)する事ありとみゆれとも後世(こうせ)
にては其法 委(くわ)しからさるに似たり故に積聚(しやくじゆ)痃(けん)
癖(へき)諸(もろ〳〵)の形(かたち)あるの諸病を瀉(しや)するには針(はり)に宜しく
して補虚(ほきよ)内症(ないしやう)不 足(そく)よりをこる虚(きよ)病の類には先
針にては功用(こうよう)うすかるへき歟
一 鍼(はり)するに古(いにし)へは九鍼(きうしん)とて九通(こゝのとふり)の法あり其法今
にいたりてはこと〳〵く存(そん)せす其似(に)よりたる法