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か様(やう)にても苦(くる)しかるまし今(いま)の俗(ぞく)男(おとこ)は左(ひだり)より始(はじめ)
女(をんな)は右(みぎ)より始(はじ)むと云此も時(とき)の宜(よろ)しきに従(したが)ふへ
し又 女(おんな)は男(おとこ)に灸(きう)し男(おとこ)は女(おんな)に灸(きう)すへしと云 是(これ)も
拘(かゝわ)るべからすしかし男女(なんによ)とも心 審諦(つまびらか)なる人に
任(にん)してすへき事(こと)なり心(こゝろ)あらく麁忽(そこつ)なる人を頼(たの)
むべからす灸(きう)後(ご)好(よき)墨(すみ)を濃(こ)くすりて点(てん)するとき
は火毒(くわどく)を除(のぞく)と云 是(これ)は必(かなら)す従(したか)ふべし或(あるひ)は油(あふら)をぬ
り或(あるひ)は唾(つば)をぬる人もあり是(これ)らも火毒(くわどく)のひりつ
きをやむる物(もの)なりしかし好(よき)墨(すみ)を点(てん)するにはし
かす又 俗(ぞく)中に灸(きう)後(ご)少(すこ)し酒(さけ)をのみ山(やま)を望(のぞ)むと云
事(こと)あり是(これ)甚(はなはだ)良法(りやうほう)なり欝気(うつき)を散(さん)し陽気(やうき)を順(めぐ)らし
てよし又 俗中(ぞくちう)に灸(きう)後(ご)に美食(びしよく)を貪(むさぼ)り繎飲(めつたのみ)なとす
るを灸糧(きうりやう)と云 是(これ)は好(このま)さる事(こと)にして初(はじめ)に云こと
く飽食(はうしよく)多飲(たいん)は深(ふかく)く禁(きん)すへき事(こと)なり
一 灸(きう)の多少(たせう)の事(こと)鍼灸(しんきう)の書(しよ)には三五壮(さんごそう)或は七八壮
の説(せつ)あり千金方(せんきんほう)には病(やまひ)によりて百壮以上もす
ゆへき論(ろん)あり今(いま)按(あん)するに平生(へいぜい)の養生(やうじやう)と軽病(けいびやう)の
類(るい)は少(すこ)しく灸(きう)して気(き)を順らす事(こと)を宜(よろ)しとす大(たい)
病(びやう)或は痼疾(こしつ)の類(るい)にて年月(としつき)を経たる病(やまひ)の類(るい)は数(す)
万壮(まんそう)の灸(きう)にあらされば効(こう)をとる事(こと)かたし灸(きう)し