翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション2

養生録 - 翻刻

養生録 - ページ 42

ページ: 42

翻刻

 終(おわ)りて其(その)あと少(すこ)しく痒(かゆ)みありて虫(むし)のはふか如(ごと)  く覚(おぼ)ゆる事(こと)あるを火(ひ)を乞(こふ)といふて宜敷(よろしき)事なり  是(これ)はふたゝひ灸(きう)してよし但(たゞ)し数多(かずおゝ)き程(ほど)をよし  とす 一 労瘵膈噎(ろうかいかくいつ)の類 津液(うるほひ)不足(ふそく)して虚熱(きよねつ)つよき病人(ひやうにん)は  日々(にち〳〵)数千(すせん)の灸(きう)を用(もち)ゆといへども其 儘(まゝ)乾(かわ)きて灸(きう)  瘡(そう)の痂(あと)直様(すぐさま)落(おち)るものなり甚(はなはだ)しきはすへて居(い)る  うちに早落(はやくおつ)るものなり決而(けつして)灸(きう)のいぼふと云事(いふこと)  なく是等(これら)は数月(すけつ)を重(かさ)ねて何十万(なんぢうまん)といふほども  灸(きう)すべし而(しかう)して灸瘡(きうそう)に少(すこ)しうるほひ出来(でき)てい  ぼふやうになりたるときは大(おゝい)に佳兆(かてう)としるべ  し又(また)灸(きう)するに最初(さいしよ)四五壮(しごそう)はあつく覚(おぼ)へてその  後(のち)は何(なに)ほとすへてもあつからす但(たゞ)眠(ねぶり)を生(せう)して  灸(きう)するを覚(おぼ)へざるものあり是(これ)らは熱(あつ)みを覚(おほ)ゆ  る迄(まて)灸(きう)してよし又 灸(きう)すると忽(たちま)ちいぼひて膿血(のうけつ)  流(なが)れ出(いで)て甚(はなはだ)難義(なんぎ)する輩(ともから)あり是(これ)は湿熱(しつねつ)の気(き)つよ  く水気(すいき)ありてむせたるなり押而(おして)すへて宜(よろ)しき  もあれども兎角(とかく)湿熱(しつねつ)ふるき症(しやう)には灸(きう)は不相応(ふそうをう)  なる物(もの)なれは斟酌(しんしやく)してすゆべし 一 婦人(ふじん)は欝気(うつき)の病(やまひ)多(おゝ)けれは尚更(なをさら)解欝(けうつ)の灸法(きうほう)宜(よろ)し