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湯治篇
一 温泉(おんせん)の事(こと)は吾邦(わかくに)にては中華(もろこし)に始(はしまりし)よりも最初(さいしよ)よ
りありし事(こと)と見ゆ神代(じんだい)にも大巳貴命(おゝあなむちのみこと)の一名(いちみやう)を
清之湯山主八島篠(すかのゆやまぬしやしましの)と申奉(もうしたてまつ)りて温泉(おんせん)の効(こう)をしろ
しめして領(りやう)じ給(たま)ふ事(こと)古(ふる)き考(かんがへ)にも見へたり全体(ぜんたい)
唐(もろこし)の書(しよ)にも温泉(おんせん)の説(せつ)は詳(つまびらか)に説(とき)たる書(しよ)少なし時(じ)
珍(ちん)か本草(ほんぞう)にも僅(わづか)に弁(べん)したるのみ明(みん)の揚慎(やうしん)か安(あん)
寧(ねい)温泉(おんせん)の詩(し)の序(じよ)に十八ケ所(しよ)の温泉(おんせん)を挙て安寧(あんねい)
の碧玉泉(へきぎよくせん)を勝(すぐ)れりと論(ろん)ぜり清の通志に温泉(おんせん)の
ある所(ところ)百三十八ケ所(しよ)挙(あげ)たり然(しか)れども吾邦(わかくに)のご