翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション2

養生録 - 翻刻

養生録 - ページ 56

ページ: 56

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 余光(よくはう)も薄(うす)くなりて世禄(せろく)に安(やす)んし遂(つゐ)に庸医(やうい)とな  る者(もの)多(おゝ)し故(ゆへ)にこれは血脈(けつみやく)相伝(あいつと)ふるの三世(さんせ)にあ  らずして学脈(がくみやく)相伝(あいつと)ふるの三世(さんせ)の事(こと)なりといふ  説(せつ)あり愚按(ぐあん)ずるに医(い)は才気(さいき)卓越(たくゑつ)の者(もの)にあらざ  れば任(にん)し難(かた)しされども事(こと)熟(じゆく)せされは用(やう)をなし  かたき者(もの)なり故(ゆへ)に其(その)精(くは)しく熟(じゆく)したる年月(としけき)をさ  して唯(たゞ)三世(さんせ)の業(ぎやう)とも云なるべし三とは古人(こじん)皆(みな)  其(その)大数(たいすう)を云の語(ご)にして三つに限(かき)りたる文字(もじ)に  あらずかく精(くは)しく事(こと)に熟(じゆく)し学(まなぶ)に老(おい)たるものに  あらざれはみだりに其(その)薬(くすり)を服(ふく)すべからすとは聖(せい)  人(じん)の身(み)を慎(つゝし)み給(たま)ふのあつきの至(いた)りなり 一 凡(およそ)医(い)を択(ゑら)ふ博識(はくしき)多才(たさい)の学医(かくい)をも必(かならず)よしとすべ  からず世間(せけん)流行(りうこう)の時(じ)医(い)をも亦(また)よしとすべからす  尚更(なをさら)無学(むがく)文盲(もんもう)にて世上(せじやう)の交(まじは)りを善(よく)し侫弁(ねいべん)利口(りこう)  の輩(ともがら)なとは論(ろん)するにたらず只(たゞ)大胆(だいたん)小心(せうしん)にして  精意(せいゐ)精術(せいじゆつ)の人(ひと)を善(よし)とすべし大胆(だいたん)ならざれば治(ぢ)  術(じゆつ)の決断(けつだん)なりがたし小心(せうしん)ならざれば物事(ものごと)精(くは)し  く密(みつ)にしがたし故(ゆへ)に平生(へいぜい)何事(なにごと)にても丁寧(ていねい)実意(しつゐ)  にして細密(さいみつ)に行届(ゆきとゞ)く人はおのづから術(じゆつ)の細密(さいみつ)  にいたるべし是(これ)を小心(せうしん)の人(ひと)と云 扨(さて)又(また)何(なに)事にて