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害(がい)なし安居(あんきよ)して事(こと)をなす者(もの)は随分(ずいぶん)満(みち)ざるやう
に心得(こゝろえ)てよし且(かつ)夜分(やぶん)二更(にかう)の比(ころ)になりて食(しよく)する
事(こと)大(おゝひ)に害(がい)あり兎角(とかく)働(はたら)きある内(うち)は少(すこ)しく過(すぎ)たり
とも又(また)ゆるすべけれども食(しよく)して直(すく)に寐(ね)るとき
は胃気(いき)をふさぎて痰沫(たんあわ)を生(しやう)じ遂(つい)には留飲癖嚢(りういんへきのう)
の類(るい)を生(しやう)ずるの基(もとひ)となるなり其上(そのうへ)夜食(やしよく)寐酒(ねざけ)な
どは始終(しじう)癖(くせ)になりて後(のち)には止(やめ)がたきにいたる
者(もの)多(おゝ)ければ始(はじめ)を慎(つゝし)みて堪忍(かんにん)すべし
一 酒(さけ)を飲事(のむこと)も饗宴(きやうゑん)の席(せき)にてもなく平日(へいじつ)の時(とき)は大(たい)
概(がい)申(さる)の刻(こく)前後(ぜんご)までに限(かぎ)るべし夜(よ)に入(い)りては先(まづ)
は飲(のま)さるかよし寐酒(ねざけ)を飲事(のむこと)は猶々(なを〳〵)宜(よろ)しからす
後(のち)には飲(のま)されは眠(ねむ)る事あたはさるやうになる
物(もの)なりかく宿酒(しゆくしゆ)停飲(ていいん)の毒(どく)積(つも)るときは遂(つい)に熱毒(ねつどく)
癰腫(ようしゆ)の病(やまひ)をなし或(あるひ)は膈噎(かくいつ)反胃(ほんい)の類(るい)に変(へん)し遂(つい)に
は命(いのち)を亡(ほろぼ)すにいたるあり恐(おそ)るべきの甚(はなはだ)しき也
一 世俗(せぞく)に好物(こうぶつ)にたゝりなしと云(いふ)事あり此語(このご)一理(いつり)
なきにしもあらすたとへは腹中(ふくちう)の拘攣(こうれん)するも
のは甘味(かんみ)の飴(あめ)さとう類(るい)を好(この)み胸鬲(けうかく)の不利(ふり)する
ものは生姜(しやうか)蕃椒(とうがらし)を好(この)み腹中(ふくちう)のあしき者(もの)は白(しら)か
ゆの和(やは)らかなるを好(この)む寒気(かんき)つよきときは陽気(やうき)