翻刻
【右丁】
一上 智(ち)の人しゆつりをとげんとおもふとりおこないは
尺迦(しやか)一代のざうきやうはまよひとさとりの二つを
ときわけ給ふ一心のうへよりさとり一心のうへよりまよ
ふ物なれは人たのみをし。仏たのみをしてなる仏
にはあらず。たゝわれにそなわりもちたる仏を
みかき出さゝれはみらいやう〳〵をへても仏には
なりかたしたとへはすいしやうの石(いし)にひかりあり
といへとも。こんがうじやうをもつてすりみがゝ
【左丁】
ざれは玉にならず。たとへはかゝみといふものはむね
むなる物なれはうかふかたちをとめす人げんも本心(ほんじん)は
かゞみにもおとらすあきらかなる物なれともうかふ
きやうがひをとめてよちつき。とんよくかまんに
まよふ。禅家(ぜんけ)に万ほうとともたつてともたらすと
いふも。ばん〳〵のきやうがいにひかれぬといふきりなり
天だいの一ねん三千のさとりといふも一心のうへに
三千のまよひあるといふ事をかんじんとす