翻刻
こんりう有て。人げんを。ゆたかにすませ。ぜんを
せよとも。あくをせよともおほしめさぬ所に末世(まつせ)
にをよぶほど人のちゑうすくなりて。でうすの御
おきてにたがひ。あくしんぶたうの。しゆじやうな
れは。かりにゐんへるのといふ所。地の下くらき中
に。鳥(とり)けだものゝかたちをうけて。くるしみをうくる。
又をしへにたがはざるしゆじやうをははらいぞうと申
て。これより天上(てんじやう)にあんらくけらくひぎやうじざい
の所へむまるゝを。ばらいぞうといふ。すべて衆生(しゆじやう)の
きより八く八なんあり。でうすははしめも今も
りやくに不同(ふどう)なし。たとへは。おやの子(こ)をまうくるに。
あしかれと思ひてそだつるはなし。せいじんして。びやう
人もふかうの物もぬす人もあるがごとし。あながち
でうすにあやまりなけれども衆生(しゆしやう)のきまち〳〵
なれば。あく人をばふかくにくみ給ふ。てうすの御
をしへにたかわぬといふは。こひさんと申て仏の