翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

難船人帰朝紀事 - 翻刻

難船人帰朝紀事 - ページ 12

ページ: 12

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【右丁】   迚連戻られたり夫より十日計三人一所に居万次郎は本の船にて出帆す南の   方へ乗り酉の二月頃又躶島の辺を通りギウアノム〇へ着船薪水を入れ戌亥の方へ   走り又日本の東海へ鯨漁に行き辰巳の方へ走り又ギウアノム〇へ来り薪水を   入午の方へ乗りセネマン〇アイラン〇へ着船二十日程滞船し夫より出帆してタイモウ〇   へ船懸りし豕牛鶏等買調へ酉九月頃アメリカ〇へ帰着    セネマンアイラン〇はジヤカタラの支配山高く人の容体着用等ヲランタイシハニン〇    同様塗物細工等生業にする也 一 ハヤヘブン〇に帰り船頭の方へ行に船頭は先へきこくして居る久振なりとて大に怡   万次郎は働溜し銀子にて諸雑用諸遣等を差引残銀三百五十枚《割書:代千五拾|貫文一枚》   《割書:三貫文替也銭に直し|十三貫百二拾五匁に成る》右銀子にて着用手道具等入用の品とも相求め此時四十日   余りハヤヘブン〇に居夫より金山へ稼に行かんとす 一 酉十一月頃■船《割書:舟の名シテギ廿七人乗|船頭名は忘れたりと云》に便を乞銀五十枚遣して乗船出帆し   南アメリカ沖をぬけ戌四月タコワナ〇へ着船薪水をとり入れ出帆す    此所イシバニン〇の支配也此地金銀銅幷石炭を掘て渡世とするなり 一 同六月キヤレソニヤ〇へ着船直様上陸して宿を取り三日逗留す    此所壱度支度代銀壱枚ツヽ也■大港にて入口広さ一丁程也内へ行く程広し 【左丁】 一 爰にて蒸気船を雇ひ百五十里の間川を登りセクマント〇へ着し右賃銀二十五枚   渡す夫より馬を雇荷物を車に積馬にひかせ又百五十里程《割書:日本の道|七十里程》行此程へ   川三筋有《割書:北南中|トアリ》此北側にて雇いれ一日に賃銀六枚喰捨にて三十四五日程働   賃銀二百枚余に成る処右の旦那博奕に打負け家財迄悉く取られ一枚も不得   /貰(モラ)に付自分に掘道具を求め金を掘七十日計掘集め銀六百枚程働溜夫を   以本の通り車馬を借りセクマント〇へ戻り又蒸気船に乗りてキヤレツニヤ〇へ戻り宿   をかりて十日程逗留しける内ウワフ国へ行く商船《割書:船の名ヱウイ|ジヤリフチ》に便を乞出帆し   西南の方へ走り戌十月ウワフ国へ着船す 一 爰にて寅右衛門に逢ふて伝蔵五右衛門を尋るに両人は是より三里計り在所に   百姓を致し居るといへは人を雇ふて呼に遣りて翌日両人とも来る万次郎ゟ   日本へ帰らふとおもひ来れり一所に帰らんやといへは出来ことなら帰らんと答ふ   随分出来るといふて約束をかため四人一所に十日程居るに伝蔵只居て喰ふを   気の毒かり便船のあるまて在郷【?】へ行て稼ふと云て行く時にアメリカの鯨   船紀州の漂流人を二艘へ二人と三人と乗せ来る彼船頭より万次郎聞て日本   人といへはなつかしきと云て逢に行物語をすれとも言語通しかたきに付岡   には物言のわかるもの居れは連立行かんことを右の船頭に相談し同道して来り