翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

難船人帰朝紀事 - 翻刻

難船人帰朝紀事 - ページ 17

ページ: 17

翻刻

【右丁】   し肉食す精進の時は四足のものを不食魚鳥は喰ふ 一 寺の造り方塔堂の如くにて高大至極のもの也惣て三百尺弐百尺はかり也   《割書:尺は日本の|カネサシ也》大なる時圭ありて時をつく寺中仏像なし毎月七日々々に祭り有り   此世をひらきたる仏を祭ると云祭の名シヤバス〇シヤンヘイとも云船中にても   此祭をすると云寺内には幾人ともなく腰かけあり此祭日には旦家不残   行合各書物を持参す住持は高座に上りて書物を持衆人に向て何の   何といふ処を開き見よといへは各其通りす住持其所を通読して跡はその   訳を説て聞かす也おはれは各去る 一 切支丹宗門は此辺にてはなし其宗旨の寺にては仏像ある様子也さして   制禁にてはなしされ共此辺は人心実義なれは左様の怪敷ことなとには   惑はすと云 一 人死すれは棺に納め僧来て存生中の其身の行ひ方等を云唱事なし   夫より墓所へ車に乗せ馬に率せて行土葬にす棺は《割書:臥棺也|》其後墓参   もせさるや見す年回の吊といふ事も見す 一 人家へ来客あれは笠を取て入る亭主は腰懸に有右の手を出せは客も右   の手を出し握り合ふて互に挨拶する内に腰懸を出し用談を成し帰る 【左丁】 一 井は築石にて拵へ水はスツポン〇にてあけ桶へ汲込也 一 雪隠は穴を明て其中へ尻を落し入用を調ふる也其内書物なと持て   見ると云溜りの桶箱なし土を堀窪めたる所へ大小便をする小便計りは   小き■に溜て雪隠へ移す故大勢人の入込場所には桶を堀込みて溜れは   取り捨ると云作物の肥しは専ら魚類にて人糞はあまり用ひす用る時は   土にまぶしこして畑へ入る也 一 畑は生魚雑喉類をひろけ置くさりたる時打返し其後に種を蒔植付等   成す麦なと蒔時は馬にすかせほふりまきにし其上を馬に樹の枝■【月へんに包。右に「本ノマヽ」】た   るを引かせて土をきせる也 一 畑作野菜等大抵日本にかわりたるものなし稲はなし米は唐天竺等   より白米にて渡る病人ある時は必粥に焚て与ふ彼地常食の麦餅は厚味   なる故に病人によろしからす米はかるきゆへ病人によろしといふにそ日本とは   表裏の違ひ也 一 味噌醤油なし煮物は始終塩也豕の頭を煮出し太抵何にても油揚に   するゆへ随分うまし 一 病人有て医師迎ふる時謝礼定りあり薬服の料は余の多少による薬は