翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

当世医者風流解 3巻 - 翻刻

当世医者風流解 3巻 - ページ 14

ページ: 14

翻刻

感(かん)じ医者(いしや)の奥義(おうぎ)を伝授(でんじゆ)すべし。しかしながらむかしの療治(りやうぢ) ハ今の病人(びやうにん)にハとんと間(ま)にあわず。されバとてむかしの火(ひ)が 今はつめたし。昔(むかし)の水(みづ)か今(いま)ハあついといふこともなけれども その風義(ふうぎ)の替(かわ)ることハ雲泥(うんでい)の違(ちが)ひなり爰(こゝ)に譬(たと)へ をもつて云(いひ)聞(きか)すべし ○抑(そも〱)昔(むかし)の小児(せうに)をおどすにハ元興寺(がごぜ)などいひ或ハうそつけ ハ地獄(ぢごく)の釜(かま)へはまるなどゝいひてしかつたにこわかつたもの なれとも。今ハそんなこといひて子供(ことも)をしかれバ。些(ちと)はまつて 行水(ぎやうずい)かしてみたいなどゝ云(いひ)て嘲哢(てうろう)をする又/地獄(じごく)の絵(ゑ) などを見せて威(おど)したものなれとも。今時(いまとき)ハそんなとろひ ことでこわかるやうな子供(ことも)ハ壱人(ひとり)もなし。又/昔(むかし)ハ寺子屋(てらこや)へ 手習(てなら)ひにやらんと思(おも)へハ先師匠(まつしせう)の筆法手跡(ひつはふしゆせき)を撰(ゑらみ)て 弟子(てし)入さしたもの也。師匠(しせう)も手習(てなら)ひ子(こ)がおうちやくなれバ 他家竹(たけ)の根むちを以て打擲(ちやうちやく)し。或ハ机文庫(つくへぶんこ)を背(せな)に負(おわ)せ 追(おひ)出せしものなれど。今(いま)ハ師匠(しせう)の方(かた)から機嫌(きげん)とつて折々(をり〱)ハ まんぢうでも又/銭安(ぜにやす)て数(かず)の有菓子(あるくはし)でもやつてたらし込(こみ)