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に見へるが遅(おそ)ふ戻(もど)ると焔魔(ゑんま)大王(だいわう)のやうな顔(つら)に見へる。
嚊(かゝ)の顔(かほ)は青鬼(あをおに)赤鬼(あかおに)。ばゞの顔(つら)はしやうづ川のばゞ
おれが心一ツから色々(いろ〱)に見(み)える。戻(もど)つた時(とき)のぐはいのわる
さそこで戻(もど)り〴〵から丁稚(でつち)てもしかり付(つけ)ねハ手にはが
わるひどうでおれがやうな切手(きれて)ハ少々(せう〱)の事(こと)ハあり内(うち)じや
が若宿這入(もしやどばいりまへ)にハ嚊(かゝ)から先(さき)へ拵(こしらへ)ておかねバ工面(くめん)かわるひ
と只(たゞ)手前(てまへ)の勝手(かつて)のよきことばかりを思ふてとんと主人(しゆじん)
へ忠義(ちうぎ)のことハ思はず丁稚(でっち)の時に始(はじめ)て主人(しゆじん)へ目見(めみ)への
時の心(こゝろ)が替(かわ)りさへせねバよひものなれと尻(しり)があたゝまるに
順(したが)ふて。材木違(ざいもくちが)ひなる了簡(りやうけん)ができ。纔(わつか)なことで手形(てがた)
をやけば世間体(せけんてい)がわるひしゝ?るわらハ是(これ)ハといふ程(ほど)の
ことてなけれバ外聞(がいぶん)がわるひなとゝいふやうな時節(じせつ)/一向(いつかう)何(なん)
のことやら分(わけ)がしれぬと云(いふ)もの也
○女子衆(おなこしゆ)の出替(てかわ)り目見へにハ御/使(つかひ)がござりましてハどふ
し?りませぬ。御供(おとも)が度々(たび〲)ござりましてはいふもなりま
せぬ。御子達様(おこたちさま)はいつちいやなもので御ざりますがどふ