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なるはしたなき入用(いりよう)にあらず忝(かたじけ)なくも女房娘(によぼうむすめ)の身(み)
の廻(まわ)り。おなご一/巻(まき)の大切(たいせつ)なる所の御/入用(いりよう)ならに夫(それ)に
なんぞや軽々敷/呉服屋(ごふくや)小間物(こまもの)やの買物(かいもの)が多(おゝ)ひ
などゝハ。きよくがないヤアどのつらさげてそのやうなのび
過(すぎ)たるおとがひ叩(たゝ)くサア今一言(いまいちごん)いふて見(み)よ眼(め)にもの
見せんときめつくれバ。夫主(おつとあるし)は顔(かほ)うちあかめこれは
ホンノ商売向(しやうはいむき)の入用かと心得(こゝろへ)まして。女子一/巻(まき)の入用
のことを存(そんし)たれバ。何(なに)に〆高(しめたか)が多(おほ)ひなとゝハ申ません
以来(いらい)ハ急度(きつと)嗜(たしな)んでさやうなことハ。申ませぬと誤(あやま)り入
てぞ居(ゐ)たりけるヤア日頃(ひごろ)馴染(なじみ)の我夫(わかおつと)ゆへ此度(このたび)のことハ
さしゆるすが。重ねて左様(さやう)な心得違(こゝろへちが)ひの過言(くわごん)をぬか
すがさいご呉服(こふく)や小間物屋(こまものや)の是迄(これまで)の買物高(かいものたか)を。
三増倍(さんぞうばい)五そうばいにして。問屋(といや)の払(はらひ)も出来(でき)ぬやう
にするぞと女房(によばう)にしかられて只(たゞ)ヘイ〱と漸々(やう〱)につら
ふくらくボイ〱とぼやく斗(ばかり)がせいさいなり。されハ今時(いまどき)
の女夫(めうと)げんくわするとも迚(とて)も夫(おつと)が女房(によばう)に勝(かつ)ことならす