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中人(なかうと)口で薄(うす)ひといふ位(くらい)なれバ。よつほど。やつと薄(うす)からふ
がまた最壱軒(もいつけん)いふてきた所ハ十人/並(なみ)より。ちと悪(わる)ひ
男(おとこ)なれども。かねがらで歴々(れき〱)の筋目家柄(すぢめいへから)じやといふこと
中人口で十人なみよりちと悪(わる)ひといふ位(くらゐ)なれバよつ
ほどわるひ男と思はるゝが縁(えん)のことハ親(おや)のまゝにもならぬ
もの無利(むり)に押付(おしつけ)られぬ程(ほと)にの。そなたの了簡(りやうけん)次第(しだい)
にしやといへバ娘(むすめ)ハ一生(いつしやう)の片付(かたつき)のことなれバ。さしうつむい
て思案顔(しあんがほ)。母親(はゝおや)見て取(とり)。とつくりとしあんしやゝ。せい
てせかんことじやぞやと云(いふ)てたらして尋(たつぬ)れバ。娘(むすめ)も漸々(やう〱)
に顔(かほ)をあげ。了簡(りやうけん)が極(きわま)りましたわひなと聞(きひ)て母親(はゝおや)
ホンニこれしやわしでさへツイ思案(しあん)が極(きわま)りにくゐのに早(はや)
ふよふ了簡(りやうけん)をきわめやつたのふハイわたしや両方(りやうはう)へ
行(ゆき)たふこさり舛ヤアナント嫁入(よめいり)するのに両方(りやうはう)へ行(ゆき)たひ
といふハニアどふいしたことじやぞいのふアノかゝさんの合点(がてん)
の御わるひことわひなア昼(ひる)ハかねがしの所へいて。夜(よ)さ
りハ小間物屋(こまものや)の方(はう)へいかふといふことでござります