翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

当世医者風流解 3巻 - 翻刻

当世医者風流解 3巻 - ページ 63

ページ: 63

翻刻

○腫物(しやもつ)が多(おほ)き性分(しやうぶん)と見ゆれバ。是則(これすなはち)小児(せうに)の時(とき) の胎毒(たいどく)也。大人(おとな)となりて湿気(しつけ)を催(もよへ)す也。酒(さけ)を過(すご)し 肉食(にくしよく)を好(この)み。身持不養生(みもちふやうじやう)する時ハ。何連/鼻(はな)か 陰茎(ちんほ)か落(をち)ずにハおかん程(ほと)にとんと今の内/実々(じつ〲) 養生(ようじやう)所ジヤなんどゝたらしたり又/威(をと)したりして長(なが)ふ 薬を呑(のま)し。纔(わづか)の腫物(しやもつ)気位(けくらゐ)なることを重(おも)く云(いふ)て 本真(ほんま)の湿病(しつやみ)と仕立(したて)上(あく)るが上手(じやうづ)なりと知(し)るべし ○/日々(にち〱)病人(びやうにん)を見る内/一寸(つよと)でも御/蔭(かけ)でどこかようなり ましたとか。爰(こゝ)がよいとか御/蔭(かけ)と声(こゑ)がかゝりし時ハ先 してやつたりと思ひ安堵(あんど)すべし。夫(それ)ハよい筈(はづ)ジヤト云 会釈(ゑしやく)にて。其時(そのとき)はちと世間咄(せけんはな)し。芝居(しばゐ)ばなしなど あしらふてもよし。まだ御/蔭(かげ)と声(こゑ)なきうちハ決(けつ)して 長尻(なかじり)長咄(なかはなし)など致(いたす)べからず。とんと御/蔭(かげ)の声(こゑ)もなく 只(たゞ)同(とう)へん〳〵とばかりの声(こゑ)多(おほ)けれハ。是/則(すなはち)断(ことはり)まへ と悟(さと)るべし。其時(そのとき)何角(なにか)に気(き)を付(つけ)最暫(もしはら)くすれバ 全快(ぜんくわい)するといふ気取(きどり)をして逃道(にげみち)も考(かんか)へ明置(あけをく)べし