翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

当世医者風流解 3巻 - 翻刻

当世医者風流解 3巻 - ページ 66

ページ: 66

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十に割(わつ)たごとく。猫(ねこ)に追(おわ)れし鼠(ねつみ)のごとく左(さ)も見すぼら しきものにて一向(いつこう)直打(ねうち)がなひと云(いふ)ばかりにて。おとな しいの人柄(ひとがら)じやのとハいはじ。只(たゞ)笑(わら)われる而己(ばかり)のみにて 誉(ほめ)る人ハ一人(ひとり)もなひものなれバ。とんと掾(えん)の下(した)の舞(まひ)と いふものなれバ。何(なん)の無益(むゑき)の費(ついへ)のかいなり。譬(たと)へ無利(むり) ともせよ勝(かつ)たり勝(かち)じやと思ひ。我(われ)ハ薮医(やぶい)なれハ負(まけ) ても恥(はぢ)にならず。大医(たいい)ハ勝て勝(かつ)はづ手柄(てがら)にならず負(まけ) てハ恥(はぢ)なれバ。七分のよわみあり。されハ薮医(やぶい)少(すこ)しもひ げするに及ばす病家ハ医者(いしや)のことハしらざれば云(いひ) 勝(かつ)た医者(いしや)の方(はう)がどふやう学力(がくりき)か有(あ)やうに思ふもの なり。とのやうに薮医(やぶい)が大医(たいい)を云(いひ)こめても医者(いしや)が 滅多(めつた)に病家(びやうか)先(さき)にて胸(むな)ぐらとり天窓(あたま)を張(はり)あふ ほどの喧嘩(けんくわ)ハせぬものなれバ少しも気遣(きつか)ひに思ふべ からず。よしつかみあふことありとも病家がじつと して取(とり)さへずにハおかぬもの也と知(し)るべし ○/療治中(りやうぢちう)にしくぢりし時(とき)の云抜(いひぬけ)やうハ何事(なにこと)によら