翻刻
ゝ右丁】
見しと是は世界(せかい)のまよこにてもあるら
んと評判しけるとなりさて西へ行し
ものゝいへるは西をさして二三千里も漕(こぎ)【艚】
行しに天気(てんき)の甚だくもりたる様子にて
先へ行ほどだん〳〵くらく後には其 空(くう)
中(ちう)何やらん手にさわるやうに覚しが蜘(くも)の
【左丁】
巣(す)を一面はりたるごとくにて後には其
蜘(くも)の巣(す)も甚だつよくおしやぶり〳〵舟
行の及ぶたけはこぎしが後には水面も
彼もの一面にありて一 向(こう)舟とをらざるゆへ
是非なく本国(ほんごく)へ帰りしとなり何たるわけ
と知たる人なしさてまた北へ行たる舟の