翻刻
【右丁】
此 魚(うを)大海より陸地(くがぢ)近くいたる時は
必す大風おこるといへり又大魚あり身
の長(たけ)二三十丈 頭(かしら)に大きなる穴二ツあり
此穴より水を吐(はき)出すに河(かわ)のごとくつよ
し大洋(たいよう)を渡る大船に遭(をふ)ときは則(すなわち)
其 首(かしら)を揚(あげ)て水を船中に吐(はき)いるゝ
【左丁】
は時に水 満(みち)て船 沈没(ちんぼつ)す此ゆへに船
此魚にあふときは酒を樽に入て海中に
投いるれば是を呑てされりたま〳〵浅き
処に漂(たゞよ)ひいたる事ある時人是をころ
して油を煎(せん)ずといふ又大魚あり長(たけ)
二十四五丈名を仁魚(じんぎよ)と号す船を損(そん)