翻刻
【右丁】
じ或(あるひ)は過(あやまつ)て海中に没溺(ぼつでき)せんとする
時此 魚(うを)たま〳〵これにあふ時は能人を
保護(ほうご)して助(たす)くる事あり或は漁人(ぎよじん)等悪
魚の為にくるしめらるゝに此魚たやすく
往て悪魚を追(をい)しりぞくとぞこ此ゆへに
其辺の諸国(しよこく)此魚をとる事を大きに
【左丁】
禁(きん)ずるの法也といふ又一魚あり其くち
ばしの長さ一丈歯は鋸(のこぎり)の如く力 強(つよ)く
猛(たけ)し諸の大魚と戦(たゝかつ)て必ずかつ
此時海水 紅(くれない)なりたま〳〵此魚くちは
しをすつて往来の船にふるれば
船則やぶる諸舶(しよはく)甚だ是をおそる